『シャンブル』全曲レビュー … 05) ザギンデビュー

  • さてワンノブ5人としての奥田民生が出してきたのは、これまた懐かしい「芝居がかった部門」のナンバー。ダークダックスとかデュークエイセスとかいった名前をつい思い出す(ああ年寄りだとも)曲調の懐かしさとは別に、先にも書いたがこういう曲を堂々と入れるのがお家芸だったなあ、と往時をしのぶ。
  • それでまた先にも書いたが、往時をしのびつつ『抱けるあの娘』や『東京ブギウギ』(かの名曲のカバー)より、やっぱりこの曲のほうがいいと思うのだ。このトラックなら笠置シズ子先生に勝てる、かどうかは微妙なところだが、少なくとも往時の「うんすごいね、で?」感は私のなかにない。
  • 理由の一つは前曲と同じく、声なのかな、と思う。もはや、元気で器用な若者がおじさんコーラスをやってみましたってギャップはないものね。シャレでやっても出来上がりは本物のおじさんコーラスだものね。(なお、本物のダークダックスはおそらく今のユニコーンよりずっと若いころからこんなだったとは思う。昔の人は老けてたからのう)
  • でもその「本物感」がいいんだなー。前曲に続いて、人間の声というのは使い込むほど磨かれるアナログ楽器なのかしらとか思う。とくに「あけっ」て跳ねてるところのコーラス(たぶん阿部)がたまらん。なんともフレッシュなおじさんテイストがはじける。くさそうとか言うな。
  • ただまあ、曲順の妙ってものも無視できない気はする。もしもこの曲がアルバムの(過去の行状からして、ないとはいえない)オープニングだったら……私は半笑いで「あーねー、相変わらず好きなのねえこーいうの」で流したかもしれない。んで、アルバム自体2回くらいしか聴かなかったかも。そんなー。
  • ところでホーンセクションにクレジットされている「セシン」て誰だと思ったら、要は曲名に合わせたわけですか。ナオンとヒーコ、ギロッポンでシースー的なあれか。あー、相変わらず好きなのねえそーいうの(半笑い)