『シャンブル』全曲レビュー … 07) オッサンマーチ

  • ほっ。テッシーのおかげで再び「年月の恩恵」路線で話ができる。顔見世興行シリーズ、どんじりにひけえしは手島いさむの破れかぶれ熟年ロケンロールだ。
  • このボーカルがまたよかったわけで。とくに歌い出しの(ピッチ的にも)ぎりぎり感が実にすがすがしい。ドゥービーブラザーズの"China Grove"を思わせるとか言ったらさすがに褒めすぎか。しかし手島さんのボーカルトラックでは出色と思うのである。『幸福』などは楽曲の良さに助けられた部分が大きかったと思うし。
  • まああのー、これも上手いとか下手とかいう話ではなくて、聴いていて何か得るものがある感じがする、ってのが重要なのだなと。ちなみにこの曲、最初は奥田さんが歌うよう依頼されたらしいが「突っ返した」(奥田談)んだそうで、そのバランス感覚に悔しいけれど脱帽ね! 歌の達者なおっさんがこれを歌ったら、ずいぶん嫌味な仕上がりとなったであろう(そして歌の達者な若い者なら一昔前のユニコーンになる)。
  • 必死というのは時に輝きを放つのだ。喩えるならば「へうげもの」における「酒井様の海老すくい」のように。喩えのおかげで話が余計わからなくなったか。
  • あと歌詞も泣けるじゃないですか。一定の年齢以上にとって泣けすぎて、それ以下に通じるのか全然自信ないけど。生きてる限り明日は来るんですよね……その質は別として。でも質が悪いからって楽しくないってもんでもない。
  • しかしこの曲全然マーチじゃねえだろと思ったら、「オ」を「ニ」に変えるとわかるしょうもない駄洒落だったという。んでたぶん、どれが発端かは知らないが「ボルボ」レロ、「ランチャのテーマ」と車の名前が裏流行してたのね。