『シャンブル』全曲レビュー … 08) AUTUMN LEAVES

  • ここから3曲、EBI様が何かしら表に出ている「EBI横丁」とでも呼びたいラインナップとなる。作詞作曲ボーカルまで担当している本曲は、デモテープ選考会にて奥田と阿部を大爆笑せしめたメランコリックな佳曲である。ってそれ文章おかしいだろ、つながりが。
  • とにかく奥田さんと阿部さんは、EBI様のやることなすこと大爆笑しがち。曲が独特と言っては笑う。レコーディング中の手つきが不思議と言っては笑う。実に容赦ないというか、それをにこにこ聞いてるEBI様はなんて大人物なんだろう……としかしここで持ち上げきれないのは、どうしたって奥田阿部の気持ちのほうがわかるからである。だって本当に独特で不思議なんですものあの人。
  • しかしたとえば、5人まとめてのインタビューなんかで普通に真面目に答えてるなーと思えるのはこの人(と手島さん)ぐらいだったりする。あとはもう、息をするように嘘ついてたり(リーダーの人)気が散ってたり(まゆげの人)他のメンバーの一言ごとにツッコミ入れるのが忙しかったり(なんか自然体とかいうのがキャッチコピーらしい人)いやまったく惨憺たる有様だわ。何の話だったっけ。そうそう、だからEBI様は普通にものを聞かれれば普通に答えるのだ。いたって実直な、ただ発想の出だしがかっとんでるだけの人といえる。「だけ」ってレベルじゃないわけだが。
  • だからたとえば、レコーディング中のスタジオになぜかタータンチェックのスカートが差し入れられ、他のメンバーがノリノリで穿いてるなかでもEBI様はためらうのだ。スカートを穿いてベースを弾くことに何の意味が。
  • 普通人ならば当然の疑問である。でもみんな楽しげにしてるし「着ないわけにはいかないでしょう」と男気を見せるEBI様。「昔ほどは抵抗なくなったかな」と笑うこのたびのメイキング映像を見て、あ、昔は抵抗あったんだな……と感銘を受ける。
  • 再始動後の映像で、とりわけて楽しそうに見えるのが奥田とEBI、ということがひとえに凄いなと。いや前者は全然予想できたけど、EBI様にとってユニコーンというのは、100%自分の世界観を満たせる場所ではまずないはずだ。デモテープ聴かせた段階で大爆笑だし(そこに愛はあるんだけどね!)スカートは穿かされるし。
  • ユニコーン含めて4つのバンドに現在のEBI様は関わっているらしい。それで初めて、ここにしかない空気を堪能できるようになったのかな、とかは思う。「スカートを穿かされる場所しかない」のと、「場所によってはスカート穿くこともできる」のではモチベーションが違うだろう、やっぱり。
  • 本曲の彼のクレジットなんて「ヴォーカル、ベース、犬声」だよ。普通こういう曲作る人がクレジットに「犬声」って入れられたら怒ると思うよ(その前に犬声を録音しない)。
  • 100%満たせる場所ではなくても、ここでしか満たせない何かってのもあるのかもしれない、不思議なバンドと不思議なベーシストのつながりではある。
  • クレジットといえば。本曲には参加しなかったらしい手島さんにも「別現場」というパート(?)が付き、むりやり5人クレジットされていることにときめく。おまえらどんだけ5人一緒にいたいんだよ、とかつい思う。いまは媒体に出てくるたんびにペアルックの5人版みたいなことになってるし。