『シャンブル』全曲レビュー … 06) キミトデカケタ

  • ボルボレロ』の項で「王子様」というタームが出たけれども、じゃあおまえにとっての王子様をユニコーンから無理やり一人選べと言われたら、私の場合もちろん川西幸一である。川西幸一である。誤字と思われるといけないので二度言いました。(失敬な)
  • そんな私にして、今回のアルバムを開封して歌詞カードを開き「あ、川西くんのボーカルがあるんだ…」と、一種の緊張を覚えたことを否定できないのである。実際には「川西くん」どころではない、ここにはとても書けないような恥ずかしい愛称で呼んでいる私にしてさえ。たとうるならばそれは、「佐藤浩市の月代」に対するのに似た緊張とでも言おうか。そら向こうに失礼か。
  • でもね奥さん、聴いたらこれはこれで悪くなかったのよ! いえ、上手いとか下手とかそんな話をしてるんじゃないのよ! 科学って素晴らしいわね!
  • 科学技術の貢献と、あとパフュームをライバル視してるらしいデジタルなサウンドが可憐な歌声を意外に引き立てています。可憐てアンタと言われそうだが、誰も傷つけない言葉を選ぶとそうならざるをえない。いやほんと、ドラミングからは想像もできない可憐さよ。
  • そして前回までせっかく年輪の味わいだのワインが熟成だの述べてきたのに、この人の登場ですべて吹っ飛んでしまった。どうしてここまで姿も声も変わらないのか……49だよ49。行きがかり上また引き合いに出すけど、佐藤浩市の2つ上と言えば事態の異常さがおわかりいただけるのではないかと思います。
  • なにしろこの曲は、「川西くんがスタジオにいる」「川西くんが一生懸命歌っている」ただそれをメンバーやリスナーが心から楽しむためだけに存在するのであって、本日の内容がないようなのも私のせいではないのである。