第23回 政変、八月十八日

  • 派手に悪行を働いていた前回ではなく、そりゃ暢気に休みはとったけれど、一応筆頭局長らしい振舞いもした今回に粛清を決められてしまう芹沢が哀れっちゃあ哀れである。なんか、悪人だから成敗されるのではなく、このやる気のないおっさんを戴いていても俺達はおんなじ場所をぐるぐる回らされるだけだ、と若手に見切られた中途半端にワンマンな社長みたいで。
  • ああ、乗り越えるべき父親像ってそういうことなんだろうか。確かに「そこまで愚痴言うならさっさと倒せよ、そんなバカ社長」って思うことよくあるけどね、世間では。それを佐藤浩市にやらせるかー。面白いから、まあいいや(いいのかよ)
  • 一方、若手のトップ近藤先生。あのまま彼の判断どおり、下知を待って屯所に控えていたらどうなっただろう。まあ順当に行けば、完全武装(虫付き)したまますべてが終るまで屯所で忘れ去られていたってところか。上の人との個人的なつながりはできても、それだけでは仕事をする上でどうにもならない、って辺りがまた世間でありがちで、どうも今回は「働く若者とその壁」みたいな、いろいろ身近に感じてしまう話ではあった。歴史上の大事件であるにも関わらず。
  • 近藤さんの中では今、「殿に立てた誓いに見合うだけもっと働きたい、表に出たい」という思いと「このまま誰も害することなく過ごしたい」という思いがせめぎあっているところか(そして前者へのお膳立ては土方が着々と進めている)。正義の味方近藤さんとしては、バカ社長より悪の権化のほうがまだ倒しやすかろう。芹沢が情けないほど近藤の決断は苦渋のものになるわけで、悲劇と喜劇が紙一重みたいなこの状況、まあやっぱり面白い。
  • それにしても容保公と近藤さんは、本当に「同じものが壇の上と下にいる」という雰囲気で、微笑ましくも危なっかしいな。
  • 時刻のテロップを出すのはドキュメンタリーぽくていい試みだと思ったが、漢数字にしたほうが画面に合ってたんじゃないかな。NHKだと時刻はアラビア数字とか、決まりがあるんですかね。