『シャンブル』全曲レビュー … 03) WAO!

  • シングル曲である。ボーカルは代わりまして阿部のへなちょこボイス炸裂。わおわお叫んだりもつれて溺れたりいろいろ大変そうな氣志團プロデューサー(42)を、まったくケアすることなく刻まれてゆくバンドのリズムが絶品な一曲である。
  • 今年に入っての復活劇、勢揃いした本人たちの姿を見聞きしたのは私の場合、この曲のPVが最初であった。文字だけの情報で復活を知り、正直「何もいまさらねえ…」な気分だったのを、「いまさらだけど、まあいいかも」にシフトしてみたのは、動いている皆さんがあまりにも昔どおりにあほうだったからである。
  • それも(ちまたでもかなり指摘されているが)昔の自分たちのセルフパロディとしてあほうをやっているのではなく、どう見ても「今あほうがやれる自分が嬉しい!」という輝きに皆さん満ちていた。なんか先に抜けた人までちゃっかりいるし。なんだ、1993年はなかったことになってんのか! ふざけるな! と私の心もときめいたわけです。アンビバレンツな人間存在よ。
  • ついでに言うと「このまったく売る気のないシングル選曲も…まさにユニコーン」とかも思いましたごめんなさい。大ヒットさすがですね!(手遅れ)
  • いやしかし、何度も何度も聴かされてるうちに妙に好きになってきたのは本当。飽きさせないというか飽きる取っ掛かりがないっつうか、そういう意味ではシングル向きだったのかっ。
  • そして「いまさらだけど、まあいいか」はアルバム一枚聴き終るころ「長生きしてみるもんだなあ」に変わったわけですが、それは順次この欄で。
  • 手島さんの華麗なギタープレイにここらで触れておかずにはおれない。「まわりの状況にお構いなく弾きたいものだけ弾いて帰っちゃう人」という、素晴らしいリードギタリスト像が本曲では(多くのユニコーンナンバーと同様)展開されているわけだが、それを演奏している手島さん自身は極めて実直な、場が求めている「お構いなしという華」を的確に実現する職人さんであるというのがしびれる。間違いなくユニコーンの魅力の一つでもある。