『シャンブル』全曲レビュー … 13) サラウンド

  • 前曲で嵐を巻き起こしながら舞い上がったバンドサウンドが、はるかな中空で一瞬静止し、一転して回りながら降りてくる。そして始まる奥田民生の歌。奥田ソロに入っていても不思議はなく、しかし「バンドの音」が濃密に感じられ、ボーカルがやたら幸せそう、という各点で『スカイハイ』と対を成す曲といえよう。
  • 個人的に好きな曲のもうひとつがこれだ。目の焦点が合わなくなる感じに好き(←きもち悪いな)。タイトルと歌詞のとおり、音もぐるぐると回っていくよう。一つの音が合わせるコードによって聞こえ方を変えていくのは、回るミラーボールにいろんな光が当たって色を変える姿を思わせる。
  • あと適度に覚えにくいメロディが逆に闘志を掻き立てる(笑)。もう完璧歌えますから! その節はよろしく! 誰に言ってる。
  • つーわけで「ただ好き」だけの曲というのは、逆に書くことがないもんですな。しょうがないのでもうひとつ、これを聴いてて思い浮かぶ、少々電波なビジョンを書いてしまおう。
  • 最後にコーラスが増えてくるあたりから、ミラーボールが回りながらふわっと浮かび上がるのが見える。ミラーボールだと思っていたのに、ほんとは銀色の宇宙船だった。丸窓の奥で、そろいの服を着た5人が手を振っている。かん、かん、かん、と動作音をたてながら宇宙船は空に遠ざかり、やがて見えなくなってしまった。
  • なんだそのさみしいエンディングは。地上のこっちはさみしいんだけど船の中には笑顔の5人がいるってのがポイントなわけですよ! 力説する電波。(←迷惑)
  • その5人ていうのは、実在するバンドとは関係ないんですけどもね。でも最近やたらおそろいを着たがるあのおっさんたちなら、こんなメルヘンもわかってくれるんじゃないかとちょっと思うんだ。無茶言うな。