第47回 再会

  • 犬、人間になる。感情を育ててしまったがゆえに斬るのが怖くなった男が、45回で斬りまくるという形で感情を暴発させて、今日は感情をとうとう言葉にした。江戸からの仲間は土方と沖田だけになってしまった(そして沖田は戦線を共にはできない)と嘆くご主人様違った局長の姿に、拾われた男が覚醒した。まさか、この物語が「未来」という言葉を斎藤一に託して終っていくとは最初は思ってもみなかった。脚本家も思ってなかったんじゃないかと呟いてみる。
  • そして文脈の読めない男永倉新八退場。いや責めてるわけじゃない。読めたところで「死に場所を探す戦い」なんてのはぱっつぁんには相応しくない。斎藤とは違う意味で、やっぱりこの人は残るべき人として描かれていると思う。ただ前回までの流れを見てきて、今回の離反はやや唐突に見えたかなー。建白書のころのわだかまりはもう解けてたように思えるし……解けたようでも蒸し返されるのが大人の感情ってもんかもしれませんが。
  • 私に限らず、試衛館ズに思い入れしてしまった大勢の視聴者が、ことあるごとに「京へ行くの中止!このままみんなで楽しく江戸で暮らそうよ!」とか「もうお役目とかいいよ!江戸へ帰ろうよ!」とか訴えてきたわけだが、ついに東へ帰ってきた今、局長は「体は帰ってきても元の暮らしにはもう戻れない」って言うのだった。ほんとにそうか?時間が心の形をゆっくり変えていくってことだってあるんじゃないか?と、私の心の分別のある部分などは思う。
  • たびたび引き合いに出すが、25回の感想で「近藤がなったと言う「鬼」は、自分で自分を律することができない芹沢を裁く存在という意味じゃないか」と書いた。そしてなんとなく今回、「あの男には甲府で死んでもらわなきゃ困る」と苦笑する勝海舟が、そういう意味での鬼に見えた。理性で裁いたら、江戸で戦をしないほうが得策なのだ。私情でそれに横槍を入れようとする者は消えてもらわねばならない。そんな選択をする自分が鬼だとわかっていても。
  • 自分と芹沢の間に起きたことが、勝と自分の間に繰り返されようとしているのに気づいて、局長は自ら裁きを受け入れたのだ……てのは、まあ穿ちすぎかと我ながら思うけど。
  • でも、同じ分別なく突き進んでいくにしても、芹沢より局長のほうがパワーアップしてるなあ。かといって山南さんみたいに、まだ若いのにもったいない、という気もしない。もったいなくはあるけど、もうあとはやりたいようにやれ、弾けとけ、という気分。
  • 「その羽織を着てる奴に嘘はつかねえ」私にとって、土方の限界と魅力を一番に言い表した言葉かもしれない。洋装もいかしていたが、それ以上にいかした台詞と思った。