第42回 龍馬暗殺

  • 最初のころに比べてサブタイトルが大変ストレートになったのが唯一の視聴率てこ入れ策か?と囁かれる今期大河。さて今回の暗殺犯、ミステリー仕立ての予告などで煽りつつも、蓋を開ければとても順当な黒幕と実行犯であった。左之助に疑いがかけられた理由もさくっと消化したりして、さすがは風呂敷畳みに定評のある脚本家。終盤に入り、嬉々としてあちこちの風呂敷を畳みまくっている姿がうかがえる。
  • ところで以前から心に引っかかっていたのが、「龍馬の死は『暗殺』なんだなあ」ということだ。えーと何が言いたいのかというと、桂小五郎は捕まったら殺されるから逃げ回ってたんですよね。当時長州は朝敵だから、捕まえた幕府は堂々と処刑することができるはずで。一方、明治になって捕えられた近藤勇は新政府にとって仇敵だったから、これまた(少なくとも体制から見れば)正当な形で処刑されてしまったと。
  • その間に起きた龍馬の死は、どっちの陣営が下手人であろうと、正々堂々と「こいつは悪い奴だから処罰しました」と名乗り出られるようなものではなかったんだな、というのが興味深いというか、心に残る点だ。具体的に龍馬が何も悪事と呼べるものを働いていなかった、ってこともあるんだろうが。でも強大な権力が存在する時期なら、そんなのしょっぴいてから捏造することだってできるだろうし。
  • 大政奉還がなされて、どっちの力も宙ぶらりんになっていた時期だから、龍馬の死は刑死ではなく、暗殺という犯罪被害になったんだなと。画面で見ると改めて納得したりするのであった。
  • 幕府がなくなって新選組の台所事情を案ずる副長に、「気にするところが違う」と局長。いや、そこは私、副長の肩を持ちますよ。気にするところが違うのが副長のいる意味だと思うもん。外がどんなになっても組がまだそこにある以上、その運営を一番に考えるのが中をまとめる人の仕事だろう。
  • 裏を返せば、局長の仕事はそれとは違う、とも言えるわけで。外に目を据えて、組全体のあり方を決めていくのが第一なわけで、「局長って組のことを任せっきり! 土方さんがかわいそお〜(><)」という批判はお門違いだろうと思う次第である。いや、このコメントもちょっともう時期外れではあるんだけど。最近は局長、だいぶ内部のごたごたにも首をつっこんできてるから。
  • でもいくら仕事の分担が違うからって、そして永井様に口止めされたからって、龍馬さんを助ける予定くらいは副長に打ち明けておくべきだと思いますよ、局長。
  • おかげで「局長+捨助」対「副長」という非常に可哀想な図になってしまったではないか。面白かったからいいけど(おい)。
  • おこうちゃん、美人に見えないのがいいなとけっこう気に入った。そして近藤さんはやっぱり、こういうがさつな女子のほうが馴染んでいる気がする。笑。
  • 総司、無理がたたってついに昏倒。でも、無念なのはもちろんだろうけども、次の世代につなげることになんとか間に合ってよかった、と思う。といってもその相手はインドア派の周平なわけで、総司の持つ100のうち、10だって伝えられなかったかもしれない。もしかするとマイナス20を0にしてやっただけなのかもしれないが、それでも、自分の持っているものが自分の死と共に消え去る、という気分だけは薄れたんじゃないだろうか。「あいつ『参った』って言わないんですよ」という笑顔にそんなことを思った。
  • 斎藤と岡田以蔵。やっぱり重ねてたか、脚本家も。