第38回 ある隊士の切腹

  • だーから言ったじゃーん。誰か土方に麻酔銃撃って強制休養させとけって! 自分で自分が止められなくなってるよこの人は。「それは俺の役目じゃねえ」って、あんなザル法度作っといてそりゃないでしょう。運用する人間がさじ加減を決められないザル法なんて何の意味があるのよ。
  • 悪いが今日は同情できん。柱に頭をごんごんやろうがかっちゃんを力なく呼ぼうが(いやそれはとっても哀れを誘ったけどさ)その心痛、事態を丸く治めるほうへ全部注げよと思わずにいられない。少なくともトリビアがいっちょかみしてるのが判明した時点で、もっと厳しく吐かせたってよかったじゃないか。「鬼の副長」ぶりはそっちで発揮してくれよ。
  • ただ、まあ、借用書も取らずに金を渡したという点で、河合もお咎め無しでは済まされないだろうとは思う。だからって切腹は飛躍しすぎだよねえ。思うに使途不明金が発覚した時点で、さっさと河合の罰を決めちゃえばよかったんでは。それこそ謹慎とかさ。正式な裁決については局長の帰りを待って沙汰するものとする、とかなんとか理屈をつけとけば、法度の体面も人の気持ちも傷つくことはなかったんじゃないか。
  • まあ、あとからなら何とでも言えるんではありますが。でも、最初に下手になあなあで済ませようとしたのが、かえって悪いほうへ転んだんだなあと。とすれば、今回の事態は土方の厳しさが招いたというよりも、(見通しの)甘さが招いたことに……なんだ今日は土方吊るし上げ大会か。
  • 一方、思えば河合くんも浪士組時代の入隊なわけで、少人数時代を知ってる組への慣れ親しみ方が、自分の裁量で金庫を開けちゃった甘さにつながったんだろう。組を良くしようというトリビアの意気に感じたのも、成立当初から身をおいていた新選組への、彼なりの愛着の表れだったんだろうな。
  • とすれば今回の一件、土方も河合も「自分の今までの経験からすれば、このくらいなあなあにしといても何とかなるや」と見通していたのが、いつのまにかそれでは済まない場所に来てしまっていた、とまとめられるのかもしれない。まとめても空しいだけだけどー。
  • ところで先週の左之助の五十両はフェイクだったようで。そりゃ、あれで腹切る羽目になっちゃ空しさは今日の比ではないっていうか何より左之助が許すまいが。ただ、河合くんのなあなあ気分が表れたという意味で伏線ではあったか。あるいはあれを皮切りとして、ちょっとずつ気分が緩んでいったとか……それじゃやっぱり左之助の夢見が悪すぎるな。
  • さあ夢見が悪いといえば斎藤。土方に引き続きここにもPTSDに悩む奴が! あのー、この人たち、大丈夫?