第37回 薩長同盟締結!

  • いや本当にどうしたことか、前回に引き続き新選組がちゃんと仕事をしているように見える(びっくりするなよ)。あと二ヶ月早くこういう姿が拝めていれば、山南騒動ももう少し腹を立てずに見ていられたような気がするんだけど、って山南さんの退場あっての今の姿なのかもしれないけれど、そこんとこの論理的つながりがいまひとつ腑に落ちない私はやっぱりちょっと口惜しいのであった。
  • 組織の大所帯ぶりがわかればこそ、土方の厳しい態度も納得できる。正直あの人の鬼っぷりに感情移入できたのは今回が初めて……かもしれません。まあ今回のことは組織うんぬん以前に、普通にまっちゃんまずいよ、と思ったけれど。「私はそんなつもりはない」だけじゃ、世間の厭な目ははね返せない。ましてお初さんの立場はまっちゃんよりもっとシビアだ。下手すりゃ毒婦呼ばわりされかねん。
  • そのお初さん、ずいぶん早くまっちゃんになびいたな、と……でもこの女優さん、もっと演技上手い気がしたのにぎこちないなと……すっかり目くらましされてました。いやお見それしました。包丁の鞘まで意味ありげに見せられておいて読めない自分ってのも、いい視聴者だよなあ(清々しいまでの自己肯定)。
  • いい人だけど鈍いってのは、ときにどうしようもなく腹立ちを誘うことがあるもんだ。それがしかも夫の敵なら。しかしもしかしたらお初さんは、まっちゃんが黙って死んでくれてついに本当に惚れちゃったのかもしれない。だから動けなくなって、斎藤がとどめを刺してやったのかもしれない、と思った。
  • そして斎藤が。人を斬るのは飯を食うのと同じだと言っていた斎藤が。あんな顔をして死にゆく同僚を見るようになったか。
  • ついでに奴の口から「俺が心配しているのは」という台詞が出て虚をつかれた私でもありますが。心配なんてレパートリーがあったんだ、わんわんの感情に。
  • 今日は豪華二本立て、「壬生心中」と「薩長同盟」。1話1日より今日くらいのペースのほうが、なんとなくドラマに広がりを感じて好みではある。で、後半。最後うどんいや西郷どんと桂さんだけだったら歴史は変わっていたのか……変わっていたくさいな、と生温かく思った。
  • 頭の良さにもいろんなタイプがあるんだなと。理屈で出した結論は同じでも、タイプが違うゆえに最後の一歩(あるいは最初の一歩?)で歩み寄れない関係ってのがあるもんだと、お勉強になった気分で。
  • 歩み寄れない自分を自覚しつつ、どっかで自分と相手の落としどころを見つけないとしょうがないと割り切るのが大人の関係なんでしょうね。たぶん「利害」って視点が一番、その落としどころを見つけやすいんだろうな。「感情」は量で計って比べられるもんじゃないから。余談。
  • さらに余談だが、ネットのエロ書き込みとかで使われる「割り切った大人の関係」って言い回しにはつくづく情けない気分になるな。この国の大人ってのは、欲望に任せてスケベをやり散らす局面にしか登場しないもんなのか。
  • 閑話休題。「難しい話をまとめるがは」と竜馬さんは言って、「面白いのう!」と続けるのだ。凄いよなあ、その余裕。「トラブル」「緊急事態」「緊張関係」といった現象がまとめて大嫌いな私のような人間には想像もつかない心境だ。ま、だから私のような人間は「面白いのう!」と言ってくれる人を探して、代わりにそういう人が苦手な図面引きとかをせっせとやっていればいいのだ、きっと。
  • 冒頭の面白い笑顔(ちょっと「腹切れ」の新見を思い出した)に始まり、金平糖のやけ食い、嫌そうーな頬ずりまで、石黒賢に今週の名演賞をあげたいと思った。にしても、なんて油の浮きそうな頬ずり。