第21回 どっこい事件

  • 冷静に考えると、自分が京に残る筋道を通すために上様に残留をお願いするって、忠義者なんだか態度がでかいんだかわからんな。真顔で思いつくあたりがさすが近藤先生ではある。
  • その件はまあいいんだが、今日はちょっと文句言いたいぞー。展開に。一言で言うと、親方、簡単に許しすぎじゃあないでしょうか。
  • いや世の中にはできた人だっているから、謝る人間の誠意をひとめで見抜いて許してくれる人だってそりゃあいるだろう。でも、ここにそういう人を出しちゃもったいない。せっかく近藤さんの度胸と度量を見せるチャンスなのに。
  • たとえ内心許していたとしても、最初はその素振りを見せないで「うちの部屋まで来て熊太郎を弔ってやってくれ」とか、真意の見えないことを言ってみてほしかったな、親方。そうしてこそ、「謝る」って行為に必要な度胸がわかるってもんだろう。山南さんの危惧は、決して取り越し苦労とはいえないんだから。
  • 行けばもしかすると何されるかわからないって状況で、あえて手を合わせに行って、初めて親方の信頼を得るのが近藤さんにはふさわしかったんじゃないだろうか。それは見ようによっては怖いもの知らずの馬鹿のする行動ともいえるが、だってあの人、怖いもの知らずの馬鹿がとりえじゃないか。
  • 話は変わるが今日は暑かったですね。だからなんとなく芹沢先生の気持ちがわかりました。梅雨明けごろの蒸す夜に、大勢の相撲取りに行く手を塞がれて、しかも小馬鹿にした顔されたらねえ……相撲取りの顔に。私でも斬りたくなるんじゃないかな……
  • 京都留守番組は着々と「新選組」への体裁を整えつつあるようで。しかしまだ街のすみっこで細々と警備をしている状況で、あの旗は派手すぎやしないかいと思う頭の固い私だが、プロモーションてのはああやって先手打って展開していくのが肝要なんでしょうな。