今日のこの日に

  • このように文章を書く場がある、からには、書いておかなきゃなのである。
  • おととしのこの日に伊藤俊人氏が亡くなったのを知ったとき、とにかく「勿体無い」としか思えなかった。当時それほど氏の出演作を見ていたわけではなかったのに、物凄い喪失感があった。人の死に「悲しい」とか「気の毒」とか思うことは数あれど、あんなに勿体無いと思ったのは、他には言語学者佐藤信夫氏の死くらいである。
  • 演劇のことなど詳しくない一般人視点だけに、この人最近見かけることが多くなったな、これから楽しみだな、と思っていた矢先だからかもしれない。年もたいして離れてないし。
  • 踊る大捜査線』テレビシリーズ初期の、インテリ爆弾魔の役が初見だった。高い知能を自分の世界のためだけに費やしてしまっている人特有の、周りと全然違う時間を生きている存在感が凄かった。それから断片的に他の役を見て、あれがべつに氏の地ではないことがわかり(そら、あれが地だったら怖すぎる)いっそう気になる存在になったものだった。
  • 言ってもしょうがないとわかっていつつ、『新選組!』が始まって、勿体無い思いはますます募る。伊藤さんの役もまず間違いなく考えられていたはずで、あの画面の中で見たかったなあ、と、たびたび思う。
  • 言ってもしょうがないとわかっていつつ、私の推測。意外に、小島鹿之助なんか有りだったのではないか? 放送では小野武彦さんがどっしりした小父様を演じているが、史実では近藤土方の兄貴分くらいの年齢差だったと聞く。伊藤さんがやるなら、飄々として育ちのよさそうな、若い者思いの庄屋さんが見られたかもしれないな、なんて。