第40回 平助の旅立ち

  • 慶喜の長州征伐宣言きたー! 宣言撤回きたー! 孝明帝崩御きたー! 今回の歴史話終了。所要時間、約3分。
  • 何をいまさらと言われるかもしれないが、あれだな、今年の大河は、「歴史の片隅で翻弄されながら生きる市井の無名の人々の物語」だったのかもしれないな、とようやく思う私であった。いや無名じゃないんだけど。近藤土方沖田って超有名人なわけだけど。
  • だが今週みたいな話を見ると、これと例えば「幕末の動乱に翻弄され流転する呉服問屋一族の物語」とかにどれほどの違いがあろうか、という気になるわけだ。たまたま登場人物の名前にやけに聞き覚えがあるってだけで。
  • 思えば多摩編なんかは、名実共に「無名の人々の物語」っぽかった。そこを出発点に、表舞台に躍り出てゆく歴史の立役者たちの話になるんだな…と私なんかは頭から信じていたんだけど、どうもそこに勘違いがあったかもしれない。この大河の試衛館ズはどこまでいっても、成り行きで表舞台に出ちゃうことがあっても普通の人たちだ。歴史の立役者っていったら横切ってゆく坂本や桂改め木戸や西郷のほうで、この人たちと試衛館ズとではもう考えている頭の中身が違う。てのが、画面からも伝わってくる。
  • もちろん普通の人だって成長するしその人のドラマを生きている。呉服問屋の頼りない若旦那が一人前の大旦那に育つように、近藤先生も隊を率いて苛烈な断を下すまでに到ったわけだが、それはまあ、歴史とはなーんも関係ないことではあるな、と40回目にしてしみじみ思うのだった。
  • で、それって実在した新選組の捉えかたとしてもそんなに間違ってないのかも、と不勉強のくせについでに憶測してみたり。
  • 「伊東先生は見事に言いくるめてくれた」と呟く局長は大所帯をまとめることに相当疲れてきているとお見受けするが、「みんなまとめて切腹だ」の副長も副長で、たいがいやけになってないかと。この人にこのまま任せておいたら、二週間後くらいには隊士五人くらいになってそう。
  • 「まだまだ子供だな」って総司、おまえだけには言われたくねえ。
  • と本人も思ったのかな……そのあと「沖田さんにはかなわないです」ですぐ「よしてくれ」が出たあたり。
  • 同門というのがどのくらいの拘束力を持つのかぴんと来ない私には、やっぱり平助の離脱が口惜しくてしょうがない。だが自分が彼だったらと考えてみると、あそこで隊に留まったら心が二つに割れる感じになって、やっぱり居心地悪くはあったかな……。
  • 再び、だが。表向きはまだ平和的分裂ではあるけれど、あの平助が出ていくという画面だけで、ちょっと心に来るものがあった。
  • 終りが始まったんだな、と思う。