第33回さらに雑感

  • 途中参加にしてさすがの注目を誇るほぼ日テレビガイドを読んでいまさら発見する。山南さんが逃げない理由として「ガキっぽい法度に対する抗議」があるのではないか……あーしまった、そっちは深く考えてなかった。「新参者の葛山にはさっさと腹を切らせて、自分は逃がそうとするのか? そんないい加減な法度があるか」そうだ、山南さんはそういう公正な、悪く言や融通の利かない考え方をする人ではあった。
  • でもただの「イチ抜け」よりは、融通の利かない抗議のほうがずっと筋が通っている。すいません山南さん、私が至りませんでした。思えば武八郎を企てに引き込んだのもあの人だ。ずーっとあの人なりに責任取ることを考えていたのかもしれないなあ。
  • 死んで責任取るってのも短絡的じゃないか、とは思うけど。でもやっぱり、山南さんは最後までみんなのためを思っていたんだな。時代に合わない融通の利かない頭と、そういう頭であることに疲れた体が短絡的な結論を出してはしまったけれど、そして「ほぼ日」で指摘されていたように、その死でもって法度を磐石のものにできるほど近藤土方には施政者の覚悟が育ってなかったのが悲劇なんだけど、ともかく山南さんは闇雲にみんなを置いていったわけじゃなかったんだ。そう考えられるのは、なんとなく嬉しい。
  • それにしてもやり方がまずかったとは思うけど(しつこい)。土方に言う「君は正しかった」は、「私が腹を切ることで君を正しくしてあげる」って響きだもんなー。「自分が正しいと思うなら悔やむな、そこで腹を据えろ、そのための手助けはしてやる」って聞こえるもんなー。そんな手助けのしかたをされても土方には受け止められないだろう……。やっぱりこの人たち、お互いに相手のやり方に合わせようって気が全然ない(泣笑)。
  • 「法度に強固な権威を与える」ってのは、「むやみに法度を発動しない」てことでもあると思うんだけどね。厳しい罰則は理念として置いておいて、細則で救うようにしていってやらないと現実の人間はやっていけない。官僚階級出身の山南さんはそれを訴えたかったんだと思うんだけど、武士ってのを単に「すごいかっこいい精神の持ち主」みたいに捉えている、言わばドリーム武士道に邁進している近藤土方には「山南さんがあれだけの覚悟を見せたんだから俺たちもやらないと!」みたいなとこしか伝わらなかった……って言うと空しすぎるが……。
  • さて話は変わる。The Battle Watcher ANNEXの久々の更新が「!」についてだった。ネット上のバトルを解説する文体が冷静かつ娯楽性に富んでいてずいぶん前から通っていたサイトだが、ここでこのドラマの話が読める日が来るとは思わなかった。やっぱ面白いわ。愛のある客観性っていいよなー。イコール娯楽性が高いということかも。
  • 王様のレストラン」との比較は水川青話さんでも以前にあったが、それプラスBWPならではのすっ飛ばしぶりだ。改心して立派な筆頭局長になる芹沢って、なんか気持ち悪いよ!(大爆笑) 想像できないことはないだけに余計!
  • 一方で、近藤が禄郎くらい頑固に信念を貫いていれば内部崩壊はなかったのに、という指摘には真面目に耳が痛かったり(なぜ私の耳が痛む)。でも禄郎だって千石さんに「あなたが仰るのなら私は腹を切ります」まで言われたら抵抗できたかどうか……(だからなぜ私が弁解する)
  • また話は変わる。それにしても第33回のネット上での反響はすごいものがあったな、と思う。山南さんのファンはもちろん、それほどでない人も何か言わずにはいられないという雰囲気だった。そもそもこのドラマ、現実の自分たちに引き比べて考えさせるものの多い内容だけれども、とりわけて山南さんの佇まいには(とくにネットで文章を書きたがるような層にとっては)共感を強く呼ぶ何かがあったのかもしれないな。コミュニケーションを否定してはいないが一歩引いてる、とか。醒めてるようで、青い、熱い気持ちも持ってる、とか。