第9回つけたし

  • そういえば歳三と二人きりのときに、初めて勇が言葉にした思いがもう一つ。講武所勤めに張り切っていたのは名誉のためもあるけれど、自分なりに激動の時代に参加できると思ってのことだった。前回山南の誘いを断ったのは、単に日常が忙しいからという理由ではなかったんだね。自分は自分なりの道を見つけたから、それ以上あちこち探す必要はなくなったよ、と。一度は現実に夢への足がかりを見つけた(と本人は思っている)人が、それを取っ払われて、より博打度の高い夢に踏み出していくっていうのはなんだか危うくて切ない。こちらが先を知っているからかもしれないけど。
  • 気持ちはいまひとつ噛み合わないまま、目的だけがあるタイミングでばしっと噛み合ってしまったことが、近藤と山南ののちの悲劇を呼ぶ、のかもしれない。
  • あと、永倉のガテンバイトを発見したときの勇の反応。5話か6話あたりの彼だったら「永倉さんじゃないですかあ」とあっさり話しかけていたんじゃないか、とふと思った。少しずつ近藤先生なりに陰影が出てきているような。幼いけど、第9回は幼い30歳にちゃんと見えた。